毎月10日20日30日に更新中「わたしのふるさと」

【熊本・宮崎・鹿児島】レシピあり!郷土料理で巡る、ふるさとの味

  • 2024年5月20日
  • 2024年5月19日
  • 料理
【熊本・宮崎・鹿児島】レシピあり!郷土料理で巡る、ふるさとの味

レシピとともに日本各地の郷土料理をご紹介する「郷土料理でめぐる、ふるさとの味

第2弾となる今回は、熊本県・宮崎県・鹿児島県の九州3県に舞台を移し、みなさんを魅力あふれる郷土料理の世界へご案内します!

今回の料理は、海の幸や山の幸を組み合わせた栄養たっぷりのふるさとの味なのはもちろんのこと、ユニークな由来をもつものばかりです。

さあ、美味しく楽しいふるさとの味を求め、南九州グルメの旅へ出発です!

熊本県は食のダイバーシティー!?多彩な料理が楽しめるグルメな県

活火山の阿蘇山や青々とした草原などの雄大な景色が広がる熊本県。

九州の中央に位置する熊本県は、周りの県の食文化を取り入れながらも数々の個性的な郷土料理を生み出しました。「からし蓮根」や「いきなり団子」は全国的にも有名ですね。

熊本県と一口に言っても山や海、平野、島と様々なエリアがあり、それぞれ気候が違うため、料理にも多様性がみられます。今回は海に近くて温暖な天草地方の料理をご紹介します。

熊本県の郷土料理「ぶたあえ」!豚肉不使用とは、どういうこと?

熊本県の郷土料理「ぶたあえ」

今回ご紹介する「ぶたあえ」は、名前に秘密が隠されています。

名前は「ぶたあえ」ですが、入っているのは豚肉ではなく、まさかの「タコ」!

思わず「どういうこと?」と言いたくなりますよね。

実は、この料理のルーツは沖縄県のゴーヤーチャンプルーだと言われています。

当時は豚肉が高価だったので、この辺りでよく獲れるタコで代用されるようになったのですが、なぜか名前だけは「ぶたあえ」のまま残りました。

名前と実物のギャップに驚くのはもちろんですが、一口食べたらさらに驚く美味しさです。

味噌と砂糖の甘じょっぱい味付けがよく沁みたナスや、コリコリした歯応えのタコ。

ごはんが予想以上に進みますので、ぜひ多めにご準備を。

ぶたあえのレシピ

<材料(2人分)>

  • なす      100g
  • たこ(茹で)  80g
  • 味噌      大さじ1と1/2
  • みりん     大さじ1と1/2
  • 砂糖      大さじ1/2
  • ごま油     小さじ2
  • 輪切り唐辛子  ひとつまみ(小さじ1/4くらい)
  • 薬味ネギ    お好みの量

<作り方>

  1. なすは縦半分に切ってから5mmくらいの斜め薄切りにして水にさらす。
    たこは細かめに(なすより小さいくらい)ぶつ切りにする。
  2. 味噌とみりん、砂糖を混ぜてたこにからめる。
  3. フライパンにごま油を熱し、茄子を炒める。
  4. しんなりしてきたら、輪切り唐辛子と2を調味料ごと入れ、さっと炒める。
    器に盛って、薬味ネギの小口切りを散らして完成。

宮崎県の料理は冷や汁だけにあらず!日向の国に伝わる心温まる味

1年を通して暖かく、南国のイメージがある宮崎県。

県が「日本のひなた」のキャッチフレーズを掲げる通り日照時間が長く、アウトドアのスポーツやイベントが存分に楽しめます。

そんな宮崎県の郷土料理は「冷や汁」や「チキン南蛮」が有名ですが、宮崎県の名物はそれだけではありません。

ここからは切り干し大根の生産で圧倒的1位を誇る宮崎県が生み出した、とっておきの料理をご紹介します。

宮崎県の郷土料理「まだか漬け」は、完成が待ちきれない美味しさ!

宮崎県の郷土料理「まだか漬け」

まだか漬け」は、様々な種類の野菜が一度に摂れ、食卓の「あと一品」としておすすめしたい料理です。

スルメと昆布それぞれから出る旨味をベースに、醤油・砂糖・酢の効いた甘酸っぱい漬けだれは、サッパリしつつもコクがあります。

タレをたっぷり吸い込んだ切り干し大根のポリポリ食感と、炒り大豆のカリカリのコラボレーションが楽しく、食べるのが止まりません。

それもそのはず、そのあまりの美味しさに出来上がりを「まだか、まだか」と急かしたことから名前がついたと言われています。

味見だけで完食しそうになりますが、1〜2日ほど置くことで味が馴染んで酸味がまろやかになり、さらに美味しくなりますよ!

まだか漬けのレシピ

<材料(作りやすい量)>

  • 切り干し大根   30g
  • 炒り大豆     80g(節分用豆。1年を通してスーパーのナッツコーナーにあります)
  • にんじん     40g
  • するめそうめん  20g(スーパーの駄菓子コーナーやおつまみコーナーにあります)
  • 昆布       10cm
  • 生姜       5g
  • ◯砂糖      大さじ2と1/2
  • ◯醤油      大さじ2
  • ◯薄口醤油    大さじ2(なければ普通の醤油でOK)
  • ◯酢       大さじ2
  • ◯鷹の爪     1本(あれば)
  • ごま油      少々(お好みで)

<作り方>

  1. 切り干し大根を洗って、200mLの水に昆布と一緒につける。
  2. にんじんと生姜、戻した昆布を千切りにする。
    するめそうめんが長ければ、他の具材と同じくらいの長さに切る。
  3. ①の切り干し大根をよく絞って、汁と分ける。(絞り汁はとっておいてください。)
  4. 鍋に◯を入れて火にかけ、ひと煮立ちしたら炒り大豆を入れて火を止める。
  5. ④に切り干し大根の絞り汁と野菜類、するめそうめん、お好みでごま油を入れて、よく混ぜ合わせて完成。
    (1〜2日冷蔵庫で置いておくと、味が馴染んでさらに美味しいです)

生産量日本一の鹿児島県に学ぶ、サツマイモの美味しい食べ方!

古くから中国や朝鮮、東南アジアの国々と交流のあった鹿児島県には、様々な食材が持ち込まれました。

中でもサツマイモは鹿児島県を代表とする食材として有名で、サツマイモを使った料理がいくつも伝わっています。

かき揚げのような「がね」や、お餅と一緒に蒸したサツマイモをついたおやつの「ねったぼ」などが今もよく食べられているそうです。

今回はもう一つのサツマイモ料理をご紹介します。

サツマイモの使い方のプロである鹿児島県の料理は、さすがの美味しさですよ。

鹿児島県の郷土料理「山坂達者めし」は、足腰鍛える秘伝めし!

鹿児島県の郷土料理「山坂達者めし」

山坂達者めし」は、サツマイモと大豆、ちりめんじゃこの素揚げに甘辛ダレを絡め、ご飯にのせた料理です。

「山坂達者」というのは、西郷隆盛で有名な薩摩藩から生まれた言葉で、薩摩藩では「日頃から山坂を歩いて体を鍛え、いざという時のために準備をしなさい」と教えられてきました。

「山坂達者めし」には、健康に欠かせない食物繊維や体を作るタンパク質、エネルギー源となる糖質がバランスよく含まれています。

また、ゴロゴロとした具はよく噛まないと食べられないため、歯やあごを鍛える効果もあります。

食べることで丈夫になれる「山坂達者めし」は、言うなれば薩摩藩秘伝のトレーニング飯!

今は鹿児島県の給食にも登場し、子ども達の成長にも一役買っているそうです。

元気になれる「山坂達者めし」、今日のごはんにいかがですか?

山坂達者めしのレシピ

<材料(2〜3人分)>

  • 米        2合
  • サツマイモ    200g
  • 蒸し大豆     100g(1袋)
  • ちりめんじゃこ  30g
  • 白ごま      小さじ1
  • 片栗粉      適量
  • 薬味ネギ     適量
  • 油        適量
  • ◯薄口醤油    小さじ1(なければ普通の醤油でOK)
  • ◯塩       小さじ1
  • ◯みりん     小さじ1
  • ◯昆布      1枚
  • ◾️醤油      大さじ1
  • ◾️みりん     大さじ1
  • ◾️砂糖      大さじ1

<作り方>

  1. 米を洗ってザルにあげておく。
    炊飯器に米と◯を入れて、2合の線まで足りない分の水を入れて炊く。
  2. さつまいもは角切りにして水に5分ほどさらし、ザルにあげて水気をよく切る。
  3. 蒸し大豆に片栗粉をまぶす。鍋に油を熱し、大豆を揚げる。
    ちりめんじゃことさつまいもも順番に素揚げする。
    (油はねには十分注意してください)
  4. 油を取り除いた鍋に◾️を熱し、沸いたら③と白ごまを入れて煮からめる。
  5. 炊き上がったご飯に④をのせ、小口切りの薬味ネギを散らして完成。

郷土料理は美味しいタイムトラベル!何年経っても変わらぬ想い

今回は由来も楽しい九州3県の郷土料理をご紹介しました。

郷土料理のはじまりを探っていくと、当時の人々の暮らしや想いが見えてきます。

「豚は高いからタコにしよう」と工夫する熊本県民、「まだか漬けは早くできないのかな」とお腹をすかせる宮崎県民、「体を鍛えよう!」と気合いをいれる鹿児島県民。

そんな姿を想像すると、名前も顔も知らないどこかの誰かが身近な存在に感じてきませんか?

暮らしぶりは変わっても、考えていることや感じていることは今も昔も同じ。

今と昔をつなぐ郷土料理を、みなさんもぜひ味わってみてくださいね!


この記事を書いた人

よだ なお
よだ なおライター
「郷土料理(ふるさとごはん)の暮らしすと」として、いつものごはんやおやつに日本各地の郷土料理を作って暮らしています。調査と試作をした郷土料理たちのレシピをエッセイとともにInstagramにて発信中。