
産休・育休に入ると、給与が減ったりゼロになったりする一方で「ふるさと納税を続けても控除は受けられるの?」「限度額の計算方法がわからない」と迷う人が多いです。控除の仕組みを誤解したまま寄付してしまうと、後で住民税が思ったより高くなることもあります。
そこで今回は、産休・育休中でもふるさと納税を上手に活用するための基礎知識と注意点、限度額の簡単な算出方法をわかりやすく解説します。
さらに、家計や育児を助けるおすすめ返礼品も紹介するので、読めば「今の収入でもできるのか」「どのくらい寄付できるのか」がすぐに判断でき、安心して寄付先を選べるようになります。
産休育休中のふるさと納税基本

産前産後休業と育児休業を取得しても、ふるさと納税の制度自体は利用できます。ただし出産手当金や育児休業給付金は非課税所得のため、課税給与が一時的に大幅減少します。課税所得が減るほど控除上限額も小さくなるので、休業前と同じ感覚で寄付すると控除し切れず自己負担が増えるおそれがあります。
まずは休業中の収入構造と課税関係を整理し、寄付計画の前提をつかみましょう。
産休育休と課税給与の関係
産休期間は原則無給ですが、多くの会社員は健康保険から「出産手当金」を受け取ります。この手当は法律上の非課税所得であり、社会保険料も免除されるため、給与明細に比べて手取り率はおおむね約8割に保たれます。
ただし課税給与はゼロになるため、その年の所得税・住民税額は減少します。控除上限は「所得税と住民税所得割の合計」を基に決まるため、休業が年の途中に重なる場合は、復職後の給与見込みを含めて年間の課税所得を試算する必要があります。
育児休業給付金への影響
育児休業中は雇用保険から「育児休業給付金」が支給され、休業開始から180日目までは賃金日額の67%、181日目以降は50%が目安です。この給付金も非課税なので、課税所得はさらに減少します。したがって、育休が年をまたいで長期に及ぶ場合は、その年の課税給与が極端に低くなり、ふるさと納税の控除上限は数千円程度になるケースも珍しくありません。
復職月やボーナスが支給されるタイミングを考慮して限度額を再計算することが家計を守るポイントです。
産休育休ふるさと納税メリット・デメリット

「休業中に寄付する意味はあるの?」という疑問に答えるため、ふるさと納税の利点と注意点を整理します。手当だけの生活でも役立つ返礼品があり、節税効果が小さくても自己負担2,000円で家計支援を得られる場合があります。
一方で限度額の読み違いは翌年の住民税増加につながるため、メリットとデメリットを天秤に掛けて判断しましょう。
生活費節約メリット
休業中は一時的に収入が減る一方、ミルクや紙おむつなど育児用品の支出が増えがちです。ふるさと納税を活用すれば、
- 米・肉・野菜など主食系
- 乳児用おむつやおしりふき
- ベビーフードや離乳食セット
といった返礼品を実質2,000円で受け取り、日々の出費をカバーできます。現金を減らさず地方自治体を応援できる点は大きな魅力です。返礼品で浮いた分を貯蓄や教育費に回すことで、家計の安心感が増します。
控除不足リスク
デメリットは「控除し切れずに負担が増えるリスク」です。休業により年収が予想より下がった場合、寄付額から2,000円を超える部分が翌年6月以降の住民税で追加徴収されます。
特に、
- 年末に駆け込み寄付をした
- シミュレーション時に復職月を誤認した
- 住宅ローン控除など他の税額控除を考慮しなかった
といったケースで追加負担が生じやすいです。最終的な課税所得が確定する12月末まで寄付額を小刻みに調整し、限度額ギリギリを狙い過ぎないことが失敗回避のポイントです。
控除満額を得る条件一覧
ふるさと納税の控除を満額受けるには、制度上の要件をすべて満たす必要があります。ここでは所得面と手続き面に分けてチェック項目を示します。チェックリスト形式で確認し、条件に漏れがないかを寄付前に見直してください。
必要な所得税住民税条件
控除額は「所得税の寄付金控除」と「住民税基本控除+特例控除」の合計で最大となります。具体的には、住民税所得割額の約20%を超える部分は控除されません。
また、
- 給与収入のみの場合でも社会保険料控除や配偶者控除で課税所得が減る
- 住宅ローン控除・iDeCo・生命保険料控除などと重なると住民税所得割額がさらに減る
ため、他の控除と合わせて年間の所得税・住民税額を概算し、上限額の過信を避けることが大切です。なお、税額の2割ルールは全国一律であり、市区町村間で差はありません。
ワンストップ特例適用条件
確定申告が不要な給与所得者であれば、書類1枚で手続きが済む「ワンストップ特例制度」を選択できます。利用には次の条件をすべて満たすことが必要です。
6自治体以内の寄付数
1年間に寄付先が7自治体以上になるとワンストップ特例が使えません。この場合は金額や寄付回数にかかわらず確定申告が必須です。寄付先を増やしすぎると手続き負担が跳ね上がるため、休業中の負担を抑えたい場合は5~6自治体で返礼品を厳選すると安心です。
書類提出期限
ワンストップ特例の申請書と本人確認書類は、寄付した翌年1月10日必着が原則です。産後の育児で忙しい時期と重なるため、寄付後すぐに書類を作成し、返礼品同封の返信用封筒で投函を済ませると期限を逃しません。期限超過の場合は確定申告が必要になるため注意しましょう。
限度額を簡単に計算する方法

限度額は「住民税所得割額×20%+2,000円」を超えない範囲に抑えると考えると概算しやすいです。住民税所得割額は前年分の給与明細や源泉徴収票で確認でき、最新の課税見込みは会社の人事部に問い合わせると教えてもらえます。
オンラインシミュレーターを併用しつつ、寄付は数回に分けて行うと誤差を吸収しやすく、大きな追納を防げます。
手当のみ収入ケース
出産手当金と育児休業給付金のみで1年間を過ごす場合、課税給与がゼロになるため、住民税所得割額は前年ベースを除けばほぼ発生しません。限度額は数千円~1万円台に縮小するのが一般的です。
このケースでは米やトイレットペーパーなど日用品に絞って寄付し、余裕分を残しておくのが安全策です。寄付額が少額でも控除し切れないリスクはあるので、寄付額は上限見込みの6割程度に抑え、残りは復職後に再検討すると負担を抑えられます。
賞与復職予定ケース
年度途中で復職し賞与も受け取る場合は、復職後の課税給与と賞与額を合算して年間所得を試算します。概算式は「(復職後の月額給与×勤務月数+賞与額)-各種控除」で課税所得を求め、続いて住民税所得割額を算出し限度額を推定します。復職月や賞与の有無が変わるだけで上限額が数万円単位で動くため、会社の給与シミュレーションを活用し、賞与支給確定後に寄付額を微調整すると失敗しにくいです。
配偶者控除も加味した例
夫婦のうち一方が休業し、配偶者控除や配偶者特別控除が適用されると世帯全体の課税所得が下がります。その結果ふるさと納税の上限額も夫婦合算で減少します。控除適用可否は扶養判定の年収130万円ラインだけでなく、社会保険料控除・生命保険料控除なども影響します。夫婦で寄付を分散する場合は、控除額が大きい側に寄付を集中させると控除枠を有効活用できます。世帯合算の家計表を作成し、寄付先と寄付額を一覧化すると管理がラクです。
申請手続きとスケジュール
産休と育休は予定が読みづらく、書類提出を忘れやすい時期です。寄付時期ごとに必要な手続きと提出期限が異なるため、カレンダーに予定を記入し、メールリマインダーを設定するなどしてミスを防ぎましょう。
産休前に寄付した場合
産休開始前に寄付した場合、ワンストップ特例を選ぶ給与所得者は、休業中に届く寄付金受領証明書を確実に保管しておくことが大切です。出産直後は書類管理が難しいため、証明書を電子化しクラウドストレージに保存する、家族に保管を依頼するなど紛失防止策が有効です。
確定申告が不要なら、1月10日までの申請書提出を忘れなければ控除は適用されます。
育休中に寄付する場合
育休中に寄付する際は、控除上限を慎重に再計算したうえで寄付額を決定します。手続き自体は通常と同じですが、自治体からの郵便物を受け取れない可能性があるため、転送届や郵便局の受け取りサービスを活用すると安心です。
子どもの夜間授乳などでタイムリーな記入が難しい場合は、スマートフォンでマイナンバーカード読取に対応したオンラインワンストップ申請を採用すると手続きが簡潔になります。
確定申告と住民税控除時期
確定申告が必要な人は、寄付した翌年2月16日~3月15日に申告書を提出します。住民税の控除反映は6月以降の住民税決定通知書で確認できますが、控除し切れなかった場合は追加納税が発生するため、決定通知書を必ずチェックしましょう。
オンラインで申告する場合は、e-Taxの利用者識別番号とマイナンバーカードが必要になるので、事前に準備しておくとスムーズです。
産休育休家庭に人気の返礼品

控除枠が小さくても、育児と家計を支える返礼品を選べば実質負担2,000円で大きなメリットが得られます。
寄付額1万円台で選べる日用品や時短グッズを中心に注目アイテムを紹介します。
紙おむつ日用品セット
自治体によっては大容量のおむつやおしりふきを定期便で届けてくれるコースがあります。配送頻度は1か月ごとが多く、在庫切れになりにくいブランドとサイズを指定できる点が人気です。
消耗品なので寄付額が控除枠を多少オーバーしても家計全体でみれば節約効果が高く、小刻みに寄付する際の定番アイテムとして選ばれています。
時短冷凍ミールキット
離乳食に移行する前後は、親の食事を簡単に用意できる冷凍ミールキットが重宝します。湯せんまたはレンジ加熱だけで主菜と副菜が完成するセットなら、調理器具を洗う手間も削減できます。
寄付額1万~2万円で週5食×4週間分などバリエーションが豊富で、賞味期限が長く新生児期の不規則な生活リズムでも無駄なく消費できます。
ベビーケア家電グッズ
空気清浄機の替えフィルターや粉ミルクを適温で溶かせるウォーターサーバー用ボトルなど、育児ストレスを軽減する家電関連の返礼品も支持されています。自治体によっては寄付額3万円前後で高性能ベビーモニターが選べることもあり、手が離せないシーンで活躍します。消耗品と違い長期使用できるため、上限額に余裕がある復職後の寄付先として検討するとコスパが高まります。
ふるさと納税ができるサイト8選
ふるさと納税を実際に行う際は、多彩なサイトから選ぶことができます。
各サイトごとに強みや特徴が異なるため、自分の目的に合ったところを活用しましょう。
- ふるさとパレット
- さとふる
- マイナビふるさと納税
- ポケマルふるさと納税
- ふるさと本舗
- ふるさと納税ニッポン
- au PAY ふるさと納税
- ふるなび
1. ふるさとパレット

「ふるさとパレット」は、東急グループが運営するふるさと納税サイトです。
生産者との共同開発によるオリジナル返礼品が魅力で、開発ストーリーも丁寧に紹介されています。TOKYU POINTが貯まる・使える仕組みがあり、東急グループならではのサービス連携が強みです。
全国各地の食材や体験型の返礼品も充実しており、地域とのつながりを感じられる運営方針が特長です。

2. さとふる

「さとふる」は、CMでの知名度も高く、初心者にやさしいUIが特徴のふるさと納税サイトです。
アプリを使ったワンストップ特例制度のオンライン申請も可能で、手続きがスムーズに行えます。人気お礼品ランキングやレビューを参考に返礼品を選べるため、初めての人でも安心して利用しやすいのがポイントです。
特に、お米やお肉といった定番ジャンルが充実しています。
3. マイナビふるさと納税

「マイナビふるさと納税」は株式会社マイナビが運営する、ふるさと納税サイトです。
幅広いジャンルの返礼品が用意されており、シンプルな手続きと検索機能の充実が初心者にも安心です。検索条件を細かく設定できるので、目的の品が見つけやすく、余計な寄付を防ぐのにも役立ちます。
また、ふるさと納税に関する各種コンテンツが豊富に掲載されているため、制度の理解を深めながら寄付を進められます。
4. ポケマルふるさと納税

「ポケマルふるさと納税」は、産直サイト「ポケットマルシェ」が運営しているため、新鮮な農産物や水産物など、ここでしか手に入らない返礼品が豊富に揃っています。
生産者が直接登録している仕組みを活かし、発送も比較的早いのが魅力です。
訳あり品や家庭用商品も多く取り扱っているため、実用性重視の方におすすめです。ワンストップ特例制度にも対応しており、手続きも安心です。

5. ふるさと本舗

「ふるさと本舗」は、全国の美味しい特産品に特化した、ふるさと納税サイトです。定期便も充実しており、キャンペーンでAmazonギフト券が当たるなど嬉しい特典があります。
ブランド和牛や旬のフルーツなど、普段なかなか手が出ない高級食材のラインナップが豊富。分かりやすい控除シミュレーション機能もあるので、初心者でも寄付額を失敗しにくい設計です。

6. ふるさと納税ニッポン

「ふるさと納税ニッポン」は、ふるさと納税専門誌と連動した、ふるさと納税サイトです。
取材記事を通じて、各自治体や生産者の取り組みを深く知ることができる点が特色です。WEBと雑誌を合わせた情報量は非常に多く、特集記事では地域の魅力を掘り下げて紹介しています。
商品だけでなく、その背景にあるストーリーも大切にしたい方に向いています。地方独自の珍しい返礼品も探しやすい構成です。
7. au PAY ふるさと納税

「au PAY ふるさと納税」は、KDDIとau コマース&ライフが共同運営している、ふるさと納税サイトです。
人気の返礼品やレビューが充実しており、auユーザー以外でもお得に寄付を楽しめます。特にau PAY残高のチャージやポイント還元など、決済面での利便性が高いのが特徴です。
レビューの評価が高い返礼品を集めた特集ページなどもあり、初心者がスムーズに寄付先を決められる工夫がなされています。
8. ふるなび

【ふるなび】は2014年にサービスを開始し、豊富な返礼品と初心者に向けたガイドが特徴的な、ふるさと納税サイトです。
寄付額に応じたポイント還元キャンペーンなどの独自サービスも魅力です。カテゴリや価格帯で細かく検索できるので、控除上限額と返礼品のバランスを取りながら選びたい方に向いています。
期間限定の特産品特集もあり、季節ごとの旬の味覚を楽しめる点もメリットです。
まとめ
産休・育休中でもふるさと納税は活用できますが、非課税手当による課税所得の減少で控除上限が小さくなる点を見落とすと負担が増えます。まずは住民税所得割額を確認し、手当のみ・復職予定などケース別に上限額を試算しましょう。
手続き面ではワンストップ特例の自治体数制限と1月10日必着を守ることが重要です。返礼品はおむつやミールキットなど育児負担を減らす品を中心に選び、家計支援と地方応援を両立させてください。ポイントを押さえて計画的に寄付すれば、休業中でも実質負担2,000円で大きなメリットを得られます。
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