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地方で起業する際の補助金は?起業支援金について解説

地方での起業を検討している方にとって、資金調達は大きな課題の一つです。「起業したいけれど資金が足りない」「地方でも使える補助金はあるのか」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

実は、地方での起業には国や自治体から様々な補助金・助成金制度が用意されており、これらを活用することで初期費用の負担を大幅に軽減できます。特に地方創生の観点から、都市部から地方への移住起業や地域課題解決型の事業に対しては手厚い支援が行われています。

この記事では、地方起業で活用できる主要な補助金制度の種類や申請条件、申請方法について詳しく解説します。また、補助金以外の資金調達方法や成功のポイントについてもご紹介しますので、地方での起業を成功させるための具体的な情報を得ることができます。

地方起業で活用できる主要な補助金制度

地方起業で活用できる主要な補助金制度

地方での起業には、国が推進する地方創生政策の一環として多くの補助金制度が用意されています。これらの制度は、地域経済の活性化と雇用創出を目的としており、起業家にとって非常に有利な条件で支援を受けることができます。

地域創生起業支援金

地域創生起業支援金は、東京圏以外の地域で社会的事業を新たに起業する方を対象とした制度です。補助金額は最大200万円で、地域の課題解決に資する事業であることが条件となります。具体的には、子育て支援、地域産品の販売・PR、買い物弱者支援、地域交通の維持・確保、社会教育、まちづくり推進などの分野が対象です。

申請には事業計画書の提出が必要で、地域への貢献度や事業の継続性が重視されます。また、起業支援金の交付を受けた場合は、交付決定年度を含めて5年以上継続して事業を行う必要があります。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営計画を作成し、商工会議所の支援を受けながら実施する販路開拓等の取り組みを支援する制度です。補助上限額は50万円(特定の条件を満たす場合は200万円)で、補助率は2/3となっています。広告宣伝費、展示会出展費、専門家謝金、機械・工具購入費など幅広い経費が対象となります。

地方での起業において、商品・サービスの認知度向上や販売チャネルの拡大に活用できる重要な制度です。申請は年4回程度実施されており、商工会議所のサポートを受けながら事業計画を策定することで採択率の向上が期待できます。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者が行う革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援する制度です。補助上限額は750万円から1,250万円(申請枠により異なる)で、補助率は1/2または2/3となります。製造業だけでなく、サービス業や小売業なども対象となるため、地方でのIT活用や新サービス開発にも活用可能です。

特に地方においては、伝統工芸品のデジタル化や農産物の加工技術向上など、地域資源を活用した革新的な取り組みに適しています。申請には技術的な優位性や市場性の証明が求められるため、しっかりとした事業計画の策定が重要です。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入することで業務効率化や売上向上を図る取り組みを支援する制度です。補助上限額は最大450万円で、補助率は1/2から3/4となっています。会計ソフト、顧客管理システム、ECサイト構築、テレワークツールなど、幅広いITツールが対象となります。地方の起業家にとって、人材不足や地理的制約を克服するためのIT活用は不可欠であり、この補助金を活用することで初期投資を抑えながら効率的な事業運営が可能になります。

また、デジタル化基盤導入枠では、会計・受発注・決済・ECソフトの導入に加え、PC・タブレット・レジ・券売機等のハードウェア購入費も補助対象となっています。

地方自治体独自の起業支援制度

国の制度に加えて、各地方自治体でも独自の起業支援制度を設けています。これらの制度は地域の特色や課題に応じて設計されており、国の制度と組み合わせることでより手厚い支援を受けることが可能です。

都道府県レベルの支援制度

都道府県レベルでは、地域の産業振興や雇用創出を目的とした独自の起業支援制度が充実しています。例えば、北海道では「スタートアップ創出支援事業」として最大300万円の補助金を提供し、沖縄県では「沖縄県創業者等支援制度」により起業家の資金調達を支援しています。また、多くの都道府県で実施されている「移住・起業支援制度」では、都市部からの移住者に対して特別な優遇措置を設けており、移住支援金と起業支援金を同時に受給できる場合もあります。

これらの制度は地域の特産品を活用した事業や観光関連事業、IT関連事業などに重点を置いているケースが多く、地域資源を活用した起業に適しています。申請方法や条件は都道府県により異なるため、起業予定地の自治体ホームページで詳細を確認することが重要です。

市町村レベルの支援制度

市町村レベルの支援制度は、より地域密着型の内容となっており、きめ細かな支援を受けることができます。例えば、起業時の事務所賃料補助、設備投資への助成、専門家派遣による経営指導などが提供されています。特に人口減少に悩む地方都市では、移住者や若手起業家に対する手厚い支援を行っており、補助金に加えて無料または低額での事務所提供、地域住民との交流機会の創出、地元企業との連携支援なども実施されています。

また、商工会議所や商工会と連携した創業塾の開催、ビジネスプランコンテストの実施、起業家同士のネットワーク構築支援なども行われており、資金面だけでなく人的ネットワークの形成にも寄与しています。これらの制度を活用することで、地域に根ざした持続可能な事業展開が期待できます。

地域金融機関との連携支援

地方自治体と地域金融機関が連携した支援制度も多数存在します。これらの制度では、自治体が利子補給や保証料の一部負担を行うことで、起業家がより有利な条件で融資を受けられるよう支援しています。地方銀行や信用金庫、信用組合などが窓口となり、創業融資の相談から事業計画の策定支援まで一貫したサポートを提供しています。

また、地域の特性を熟知した金融機関ならではの視点で、地域資源の活用方法や販路開拓のアドバイスも受けることができます。

さらに、定期的な経営相談や業界動向の情報提供、他の起業家や既存企業との引き合わせなど、融資後のフォローアップも充実しています。これらの連携支援を活用することで、資金調達だけでなく、地域での事業基盤構築にも大きなメリットを得ることができます。

地方起業補助金の申請条件と注意点

地方での起業補助金には、一般的な起業補助金とは異なる特有の条件や注意点があります。これらを理解しておくことで、申請時のトラブルを避け、採択率を向上させることができます。

共通する申請条件

地方起業補助金の多くに共通する基本的な申請条件があります。まず、申請者は個人事業主または中小企業者であることが求められます。

また、申請時点で事業を開始していない、または事業開始から一定期間内(多くの場合は5年以内)であることが条件となります。事業計画書の提出は必須で、事業の実現可能性、収益性、社会性などが審査されます。さらに、補助事業の実施場所が補助金の対象地域内であることも重要な条件です。

税金の滞納がないこと、暴力団等の反社会的勢力でないことなどのコンプライアンス要件も確認されます。多くの制度では、補助事業完了後も一定期間(通常3年から5年)の事業継続が義務付けられており、途中で事業を中止した場合は補助金の返還を求められる場合もあります。

地方特有の条件・優遇措置

地方の起業補助金には、都市部にはない特有の条件や優遇措置が設けられています。最も特徴的なのは移住要件で、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)から地方へ移住する場合に追加の支援金が支給される制度が多数あります。

また、地域課題の解決に資する事業であることが重視され、地域の人口減少、高齢化、産業振興などの課題に対応する事業提案が高く評価されます。地域資源の活用も重要な要素で、地域の特産品、観光資源、伝統技術などを活用した事業は優先採択される傾向があります。さらに、地元雇用の創出を条件とする制度も多く、一定数以上の地元住民を雇用することで補助率が向上したり、補助上限額が増額されたりする場合があります。

UIJターン者に対する特別枠の設定や、女性・若者・シニア起業家への優遇措置も地方特有の特徴といえます。

申請時の注意点

地方起業補助金の申請時には、いくつかの重要な注意点があります。まず、申請時期の制約が厳しく、多くの制度で年1回から2回程度の募集となっているため、申請タイミングを逃さないよう注意が必要です。また、地方自治体の制度では、申請前に地域の商工会議所や産業振興機関での事前相談が必須となっている場合が多く、十分な準備期間を確保することが重要です。

必要書類も多岐にわたり、事業計画書、収支計画書、見積書、住民票、納税証明書など、準備に時間がかかるものも含まれています。さらに、補助金は原則として後払いのため、まず自己資金で事業を実施し、完了報告後に補助金が支給される点にも注意が必要です。

審査期間も長期にわたることが多く、申請から交付決定まで数ヶ月を要する場合もあるため、資金繰りを十分に考慮した事業計画を立てることが求められます。

補助金申請の流れと必要書類

地方起業補助金の申請から交付までの具体的な流れと、準備すべき書類について詳しく解説します。

事前準備を周到に行うことで、スムーズな申請と採択率の向上につながります。

申請から採択までのスケジュール

地方起業補助金の申請から交付までのスケジュールは、制度により異なりますが、一般的な流れは以下のようになります。まず、募集開始の1ヶ月から2ヶ月前に募集要項が公表され、その後正式な募集が開始されます。申請期間は通常1ヶ月程度で、この間に必要書類を完備して提出する必要があります。提出後は書面審査が行われ、制度によっては面接審査や現地調査も実施されます。

審査期間は2ヶ月から3ヶ月程度を要し、その後採択結果が通知されます。採択が決定した場合は交付決定通知が発行され、事業実施が可能となります。事業完了後は実績報告書を提出し、内容確認を経て補助金が交付されます。事業開始から補助金交付まで、全体で6ヶ月から1年程度を見込んでおく必要があります。

必要書類の準備方法

補助金申請に必要な書類は多岐にわたるため、早めの準備が重要です。基本的な書類として、申請書、事業計画書、収支計画書、会社概要(法人の場合)、住民票、納税証明書などが必要となります。事業計画書は最も重要な書類で、事業の目的、内容、実施方法、期待される効果などを具体的に記載する必要があります。収支計画書では、事業に必要な経費の詳細と収益予測を明確に示すことが求められます。

見積書や仕様書も重要で、購入予定の設備や委託予定の業務について、複数社から見積もりを取得し、適正価格であることを証明する必要があります。法人の場合は登記簿謄本、決算書、株主名簿なども必要となります。これらの書類は申請期限に間に合うよう、余裕を持って準備することが重要です。

審査のポイント

地方起業補助金の審査では、複数の観点から事業の妥当性が評価されます。最も重視されるのは事業の実現可能性で、市場分析、競合分析、収益性の根拠などが具体的なデータに基づいて示されているかが審査されます。地域への貢献度も重要な評価要素で、雇用創出効果、地域経済への波及効果、地域課題の解決への寄与度などが総合的に判断されます。

事業の革新性や独自性も評価対象で、既存事業との差別化ポイントや技術的優位性を明確に示すことが求められます。申請者の経営能力や事業遂行能力も審査され、過去の実績、保有スキル、協力者の存在などが考慮されます。

さらに、補助金の使途の適切性、事業継続の見込み、資金計画の妥当性なども詳細に審査されるため、これらの観点を踏まえた事業計画の策定が採択への近道となります。

地方起業の補助金以外の資金調達方法

補助金は重要な資金源ですが、それだけでは十分でない場合もあります。地方での起業を成功させるためには、複数の資金調達手段を組み合わせることが重要です。

以下では主要な資金調達方法を紹介します。

日本政策金融公庫の創業融資

日本政策金融公庫の創業融資は、地方での起業において最も利用しやすい資金調達手段の一つです。新創業融資制度では、最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)まで無担保・無保証人で融資を受けることができます。金利は年1.2%から3.0%程度と低く設定されており、返済期間も設備資金で20年以内、運転資金で7年以内と長期にわたります。特に地方での起業においては、地域経済の活性化に資する事業として優遇措置を受けられる場合があります。申請には事業計画書の提出が必要ですが、補助金申請で作成した計画書を活用できるため、効率的に準備することができます。

また、創業前から創業後7年以内であれば利用可能で、既に事業を開始している場合でも資金調達の選択肢となります。審査期間は1ヶ月程度と比較的短く、迅速な資金調達が可能です。

信用保証協会の制度融資

信用保証協会の制度融資は、地方自治体、金融機関、信用保証協会が連携して提供する融資制度で、地方での起業に特に適しています。自治体が利子補給や保証料の一部を負担するため、一般的な融資よりも有利な条件で資金調達できます。融資限度額は制度により異なりますが、多くの場合1,000万円から2,000万円程度まで利用可能です。

金利は年0.5%から2.0%程度と非常に低く設定されており、長期返済も可能です。地方自治体独自の制度も多く、移住者向けの特別融資制度や女性・若者向けの優遇制度なども用意されています。申請は地域の金融機関を通じて行い、信用保証協会が保証を行うことで、担保や保証人の負担を軽減できます。

審査では地域への貢献度も考慮されるため、地域密着型の事業計画を策定することが重要です。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を調達する手法で、地方の起業家にとって有効な選択肢の一つです。特に地域資源を活用した事業や社会課題解決型の事業では、共感を得やすく、資金調達とともに事業のPRや顧客獲得も期待できます。購入型クラウドファンディングでは、商品やサービスをリターンとして提供し、事前予約販売の形で資金を調達できます。

寄付型では、地域貢献性の高い事業に対して寄付を募ることができ、税制優遇措置を受けられる場合もあります。投資型では、事業の将来性に期待する投資家から資金を調達し、成功時には利益を分配します。クラウドファンディングを成功させるためには、魅力的なプロジェクト内容の設定、効果的な情報発信、支援者とのコミュニケーションが重要となります。

また、目標金額の設定や期間設定も成功の要因となるため、十分な準備と戦略が必要です。

地方起業を成功させるポイント

地方での起業を成功させるためには、資金調達だけでなく、地域特性を活かした事業戦略の構築が不可欠です。地方ならではの機会を最大限に活用し、持続可能な事業展開を図るための重要なポイントを解説します。

地域のニーズを把握する

地方での起業成功の第一歩は、地域の真のニーズを正確に把握することです。人口減少、高齢化、商店街の衰退など、地方が抱える課題は多様であり、これらの課題解決に貢献する事業は地域から強く求められています。ニーズ把握のためには、住民へのアンケート調査、地域の統計データ分析、自治体や商工会議所との意見交換などが有効です。

また、地域の伝統産業や特産品、観光資源などの強みも同時に分析し、課題と強みを組み合わせた独自のビジネスモデルを構築することが重要です。例えば、高齢化が進む地域では介護・福祉関連サービスのニーズが高く、農業が盛んな地域では6次産業化や農産物の付加価値向上などの機会があります。地域住民との直接対話を通じて、表面化していない潜在的なニーズを発見することも成功の要因となります。

地元ネットワークの構築

地方での事業成功には、強固な地元ネットワークの構築が不可欠です。地域の商工会議所、商工会、青年会議所、ロータリークラブなどの団体への参加は、人脈形成の重要な機会となります。これらの団体を通じて、地域の有力者、先輩経営者、同世代の起業家との関係を築くことができます。

また、地域のイベントや祭りへの積極的な参加も、住民との信頼関係構築に役立ちます。地元金融機関との良好な関係も重要で、定期的な情報交換や相談を通じて、資金調達だけでなく経営アドバイスも得ることができます。自治体職員や議員との関係構築も、政策動向の把握や事業環境の改善に寄与します。

さらに、地域の大学や研究機関との連携は、技術開発や人材確保の面でメリットをもたらします。これらのネットワークを通じて得られる情報や支援は、事業の成長において大きな資産となります。

事業計画の作成方法

地方での起業における事業計画書は、都市部とは異なる視点で作成する必要があります。まず、地域の市場規模や競合状況を詳細に分析し、現実的な売上予測を立てることが重要です。地方では市場規模が限られる場合が多いため、複数の収益源を組み合わせた事業モデルや、インターネットを活用した全国展開なども検討する必要があります。

コスト面では、人件費や賃料が都市部より安い一方、物流費や営業費用が高くなる可能性があるため、これらを考慮した収支計画を策定します。地域資源の活用方法や地域貢献の具体的な内容も明記し、地域から支持される事業であることを示すことが重要です。

また、季節変動や地域特有のリスクも考慮し、それらに対する対策も事業計画に盛り込む必要があります。事業の成長戦略では、段階的な拡大計画を示し、各段階での目標設定と達成方法を具体的に記載することで、実現可能性の高い計画として評価されます。

まとめ

地方での起業には、国や自治体から多様な補助金制度が用意されており、これらを効果的に活用することで初期費用の負担を大幅に軽減できます。地域創生起業支援金をはじめとする国の制度と、各自治体独自の支援制度を組み合わせることで、より手厚い支援を受けることが可能です。

また、補助金以外にも日本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会の制度融資など、有利な条件で資金調達できる選択肢も豊富に用意されています。成功のポイントは、地域のニーズを正確に把握し、地元ネットワークを構築して、現実的な事業計画を策定することです。

これらの要素を総合的に活用することで、地方での起業を成功に導くことができるでしょう。

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わたふる編集部
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